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Web制作業は持続化補助金で何が対象?どこで落ちる?個人事業主の具体例

Web制作業・フリーランスエンジニアが小規模事業者持続化補助金を申請する場合の対象経費と、よくある不採択・対象外パターンを整理。設備投資・広告費・外注費の判断基準を実例ベースで解説。

公開: 2026-02-20 最終確認日: 2026-04-21

結論: Web制作業は「自社販路開拓」なら使いやすいが「受託業務の効率化」は対象外

Web制作・システム開発フリーランスが小規模事業者持続化補助金を使う場合、「何が対象で、何が対象外か」を明確に押さえる必要があります。Web制作業特有の落とし穴があります。

この記事では、Web制作業のフリーランス・個人事業主が申請する際の対象経費・対象外経費を、具体例ベースで整理します。

持続化補助金の基本要件(Web制作業の場合)

対象者

  • 商業・サービス業で常時使用する従業員 5人以下(Web制作・システム開発は商業・サービス業に該当)
  • 法人・個人事業主の両方が対象
  • 開業届があり、事業として活動している個人事業主
  • 商工会商工会議所の管轄地域内に事業所がある

目的要件

補助金の目的は「販路開拓」と「業務効率化」です。特に重視されるのが販路開拓で、Web制作業の場合は以下のような取り組みが該当します。

  • 新規顧客層の開拓
  • 既存顧客への新規サービス提供
  • 新規事業領域への進出
  • 地域外・海外への販路拡大

Web制作業で対象になりやすい経費

1. 自社のマーケティング・販促

経費例対象になりやすさ補足
自社サイトの新規制作・全面リニューアルウェブサイト関連費扱い。補助金交付申請額の1/4上限単独申請不可(他費目との組み合わせ必須)
ポートフォリオサイトの新規構築同上(ウェブサイト関連費)
Google広告・Meta広告・SNS広告の出稿インターネット広告・SNS広告も原則「ウェブサイト関連費」扱い。1/4上限・単独申請不可
SEO対策費・記事制作費(外注)ウェブサイト関連費扱い。制作目的を成果物単位で明示
チラシ・パンフレット制作販路開拓目的で対象。広報費扱い
展示会出展費展示会・商談会出展費。旅費の一部と合わせて対象

2. 新サービス開発のための設備・ツール(慎重に判断)

経費例対象になりやすさ補足
業務用ソフトウェア(1年分)特定業務専用かつ販路開拓目的の場合に限定的に対象になり得る
タブレット・Webカメラ・ヘッドセット等×汎用機器として対象外例に当たるケースが多い。採択後に否認されるリスク大
動画編集用ソフトウェア(サブスク1年分)動画制作事業への明確な進出計画がある場合に限定的

3. 外注費・委託費

経費例対象になりやすさ補足
デザイナーへのロゴ制作依頼販路開拓の一環として
ライターへの記事制作依頼SEOコンテンツ等
翻訳者への海外展開用翻訳依頼海外販路開拓
写真家への撮影依頼ポートフォリオ・販促用

Web制作業で対象になりにくい経費

1. 受託業務の効率化ツール

  • 開発PC・モニター・周辺機器(汎用機器として対象外)
  • 通常利用のOS・汎用ソフトウェア
  • コード補完・AIアシスタント等のサブスク(Copilot等)
  • エディタ・IDE の有料ライセンス

理由: これらは「販路開拓」でなく「受託業務の遂行」のための道具であり、補助金の趣旨と合わない。

2. 既存事業の維持費

  • サーバーのランニング費(既存案件用)
  • ドメイン更新費
  • 既存サイトの軽微な保守費
  • 税理士顧問料・会計ソフト月額費

理由: 販路開拓でなく事業維持費と判定される。

3. 家庭兼用が疑われる経費

  • 家庭用途と区別しにくいPCやタブレット
  • 自宅の家賃(按分でも原則対象外)
  • 家庭用インターネット回線

4. 汎用性が高すぎる資産

  • スマートフォン
  • 一般的なノートPC
  • オフィス家具

よくある不採択・対象外パターン

パターン1: 「業務効率化」を前面に出しすぎ

「AIツールを導入して開発効率を上げたい」という申請。持続化補助金は販路開拓が主眼のため、効率化だけでは通りにくい。

改善: 「新規サービス(例: AI活用Web制作)を立ち上げ、新規顧客層にアプローチする」という販路開拓の文脈に位置付ける。

パターン2: サイトリニューアルの目的が曖昧

「デザインが古いので新しくしたい」では通らない。

改善: 「問い合わせフォームを追加し、見積依頼導線を作ることで新規法人顧客を月5件獲得する」のような定量的・販路開拓的な目的にする。

パターン3: 対象経費と対象外経費を混在

事業計画書で「開発用PC + マーケティング広告費 + サイト制作外注」をまとめて申請。

改善: 対象外のPC・開発機材を除外し、マーケティングと販路開拓のみに経費を絞る。

パターン4: 見積が1社のみ

同一業者からの見積1通のみで申請。一定額以上の経費は原則として複数社からの見積取得が必要です。必要条件は公募要領に記載があるため、対象経費ごとに確認してください。

パターン5: ウェブサイト関連費の上限・単独申請制限の見落とし

「サイト制作+広告+SEO」をまとめて申請したら、全部がウェブサイト関連費扱いで、補助金交付申請額の1/4上限に当たって大半が削られる、かつウェブサイト関連費単独では申請不可で却下になる、というパターン。他費目(チラシ印刷・展示会・機械装置等)と組み合わせるのが原則です。

パターン6: 交付決定前に契約

採択通知を受けて即座に制作会社と契約 → 交付決定前の発注は対象外。詳細は交付決定前に契約・支払いNGを参照。

Web制作業の申請成功例(架空事例)

事例A: フリーランスWebデザイナー

  • 現状: 地元中小企業向けにサイト制作を受託中、年商800万円
  • 計画: 医療・福祉業界特化のサイトテンプレート事業を新規立ち上げ、ポートフォリオサイト新設
  • 補助対象経費:
    • 新ポートフォリオサイト制作(外注)
    • 業界特化の事例記事制作(ライター外注)
    • Google広告(医療・福祉業界キーワード)
  • 販路開拓の説明: 既存顧客層(地元中小企業)→ 新規顧客層(医療・福祉事業者)への展開

事例B: 一人親方のシステム開発会社

  • 現状: 受託開発中心、既存顧客3社からリピートのみ
  • 計画: 自社プロダクト「在庫管理SaaS」のLP制作・広告運用で新規顧客獲得
  • 補助対象経費:
    • LP制作(外注)
    • 動画広告制作(外注)
    • Meta広告・Google広告
    • SEO記事制作(ライター外注)
  • 販路開拓の説明: 受託事業(1対1)→ 自社SaaS販売(1対多)への事業モデル転換

申請前のチェックリスト

Web制作業の方は、以下を確認してから申請してください。

  • 事業が商工会商工会議所の管轄地域内か
  • 従業員5人以下か
  • 販路開拓の目的が定量的に書けるか
  • 経費が「販路開拓」か「受託業務効率化」か切り分けできているか
  • 見積を複数社から取得しているか
  • 交付決定前に発注・契約しないスケジュールになっているか
  • GビズIDを取得済みか(取得中なら間に合うか)
  • 商工会商工会議所への相談予約を2-3週間前に入れたか

まとめ

  • Web制作業は「自社の販路開拓」に使う経費が対象になりやすい
  • 受託業務の効率化ツール(開発PC、Copilot等)、タブレット・Webカメラ単体は対象外寄り
  • サイト・広告・SEO はウェブサイト関連費扱い1/4上限&単独申請不可、チラシ・展示会・機械装置と組み合わせるのが原則
  • サイトリニューアルは販路開拓目的が明確ならOK
  • 一定額以上の経費は複数社見積、交付決定前の発注は厳禁
  • 事業計画は定量的な販路開拓効果を書く

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出典・参考資料